1.はじめに~なぜ今、中期総合計画か?

  • 日本医療薬学会の「薬局に求められる機能とあるべき姿」が示すように、医薬分業の進展に伴って、「24時間対応」「薬学的管理の強化」「在宅強化」「セルフメディケーション、健康情報拠点の役割」など、保険薬局の役割が質的に強化されようとしています。それに見合った医療、経営方針が求められています。
  • 香川民医連中期事業計画による、老人施設の建設、県連医療機関に対応する新たな保険薬局の建設など、かがわ保健企画に新たな事業展開が求められています。
  • 栗林公園前薬局開設10周年を経過し、かがわ保健企画としても新たな方向性を示していく必要があります。その中では、単に医療活動や事業活動に止まらず、後継者の確保と養成、幹部の世代交代など総合的な政策と方針が必要となります。

2.中期総合計画をすすめていくために~会社の理念と行動指針

行動指針

  • 安全、正確、迅速な調剤活動、適切で満足してもらえる服薬指導を図ります。
  • 医療機関や生協法人、介護サービス事業所との連携を図ります。
  • 利用者の受療権を育み、共に安心して暮らせる社会(平和な社会、無差別・平等の医療、社会保障制度の拡充等)を目指します。
  • 薬や健康に対する専門アドバイザーとして、地域の相談薬局機能を強化します。
  • 医療従事者として、技術や知識、接遇マナーの向上を図ります。職員の働きやすい環境をつくります。

3.中期総合計画での医療活動方針

医療活動の維持・発展

1.安全、正確、迅速な調剤活動

  • 調剤システムを見直し、監査システムを充実します。
  • 機器の充実を図り、電子薬歴を活用できるようにします。
  • 服薬指導の内容を手書きからPC入力に変更していきます。

2.適切で満足してもらえる服薬指導

  • 服薬指導の相互点検、研修により均一な指導を実現します。(ロールプレイ、相互検証など)
  • 生活困難な利用者に社会資源の活用アドバイスができるようになります。
  • 職場内の事例検討(カンファレンス)を行い、より適切な指導を実現します。

3.事業所間連携

  • 「地域医療連携懇談会」の開催を進めます。
  • 医療機関の各種カンファレンス(外来、退院時、在宅等)への参加、服薬指導内容の医療機関への報告等で、医療連携を強めます。

4.医療器材、一般薬の販売

  • 利用者の需要が高まっている各種サプリメントに対し、適切にアドバイスできるアドバイザーの育成を図ります。
  • 在宅利用者などへの医療器材、OTC、衛生品、介護商品の注文販売を行い、健康づくりに貢献します。

新たな医療活動の展開

1.地域の相談薬局機能の強化

  • 24時間開局を目指します。
  • 地域コミュニティー活動への参加を進めます。
  • HbA1cに加え、中性脂肪、総コレステロール値の測定も進めます。骨密度、血管年齢測定等も検討していきます。
  • 持ち運び可能な簡易血糖値測定器を使い、生協の班会等での測定も検討していきます。

2.セルフメディケーション活動

  • 健康づくり活動としてウォーキング、栄養、筋力アップ等の健康教室を行い、利用者の健康づくりに貢献します。

新事業分野への取り組み

1.在宅支援活動の強化

  • ターミナルの在宅も含め、在宅件数の増加を目指します。
  • 無菌調剤、薬局製剤も検討していきます。

2.薬剤師の専門性を活かした新しい薬剤活動

  • フィジカルアセスメントなど新たな薬剤活動を進めていきます。

3.「地域包括ケア」関係

  • 在宅薬剤活動では地域で一番の実績を目指していきます。
  • 特養、老健、介護施設等との連携を進めていきます。

共同組織~組合員との協力協同を強めます。

  • 薬局利用委員会の機能促進をはかります。
  • 生協班会、地域コミュニティー等で「健康講話」を行い、生協組合員、地域との協力関係を築いていきます。

社保・平和活動~受療権を育み、共に安心して暮らせる社会

  • 無料低額診療の制度紹介と、薬局に対する行政からの補助の実現をめざします。
  • 高薬価問題など製薬に関わる実態や、薬事行政の問題点などを利用者に知らせる活動や薬害根絶の取り組みを進めます。
  • 利用者の「中断対策」と併せて、「気になる患者」委員会の活動を進めます。
  • 利用者への社会資源の活用・普及の取り組みを強めます。

4.業務・運営の改善、機器・機材、施設計画について

業務・運営の改善について

  • 在宅活動の強まりから、薬局製剤づくりや、無菌調剤室等の検討を行います。
  • 監査システムの見直し、改善を図ります。
  • 機能の効率化と多様化を図るため、レセコンシステムの見直しを図ります。
  • 多店舗化した場合、各店舗の状況がリアルタイムに把握できるように映像連携の検討を進めます。
  • 国が進めるIT化に対応した処方箋発行システム等への検討を行い、必要なら導入を図ります。

機器・機材の充実

  • レセコンシステムの見直し、更新
  • 在宅のタブレット入力
  • 散剤分包機の更新、自動錠剤分包機のコンパクト化などの改善
  • その他、「業務・運営の改善」で必要と確認された機器、機材の導入

施設計画

1.調剤薬局の施設計画

  • 2018年までに新たに2店舗調剤薬局の開設を目指します。

2.「地域包括ケア」関係の施設計画

  • 24時間対応に必要な施設の改築

5.人材の確保と育成

人材の確保

  • 毎年1人以上を目標に新卒薬剤師の確保を系統的に進めます。
  • そのための就職説明会の取り組み、系統的な奨学生対策や、「高校生一日薬剤師体験」など後継者の確保と養成の取り組みを、県連薬学対などの援助を受けながら進めます。
  • 施設計画の進展や、薬剤師体制の急変等に応じて、既卒薬剤師対策も強めます。
  • 事務職員も、長期的な事務職員の育成政策にそって、また、施設計画の進展等に伴って新卒、既卒の必要な確保を目指します。

人材の育成

  • 薬剤師・事務の研修要綱及び研修マニュアルに基づいて、計画的、系統的な人材の育成を進めます。
  • 県連・法人の制度教育や職場内教育、必要な研修・教育への派遣などを通じて、人材の育成と幹部養成を進めます。
  • 認定薬剤師や各種資格制度(事務も含む)を通じた専門性のスキルアップをめざします。
  • 幹部の世代交代を計画的に進めます。そのために必要な人材の確保等は、会社内に止まらず、県連内外を通じて検討していきます。

6.財務計画

  • 民医連の会計基準を遵守し、施設・機器等の投資は無理のない計画(経営改善指標が5項目以上とならない範囲で、かつ、少なくとも投資次年度には剰余が出ること)を原則とします。
  • 施設計画によっては銀行等からの借り入れも必要ですが、20%以上の自己資本比率は絶えずあるような財務計画を立てていきます。
  • 引き続き、適正な技術料の確保、ジェネリック薬の普及促進と在庫管理の強化、適正な人員管理と業務の効率化、残業削減、経費の節約と費用管理の強化などを通じて日常的な財務体質の強化を図っていきます。

7.法人形態

より民医連的な法人形態をめざして、一般社団法人への法人形態の変更を、本計画内で目指していきます。

8.年次計画について

1.本計画は2015年度から5年間を想定しています。

2.2015年度については、すでに策定されている法人・事業所の年次方針を充てることとします。

3.2016年度は以下の取り組み(主な施設、設備投資など)をめざします。

  • 民医連加盟事業所対応の調剤薬局開設(2店舗目)
  • 薬局の新しい機能である「健康相談」「セルフメディケーション」支援活動の強化をはかります。
  • 地域包括支援センター構想の実現に向け、調剤薬局としての機能強化を図ります。(24時間対応、事業所間連携など)
  • 在宅支援活動の強化をはかります。ターミナルの在宅を含め、在宅件数を強化します。また、無菌調剤室など必要な施設の検討も開始します。

4.2017年度以降

  • 民医連加盟事業所対応の調剤薬局開設(3店舗目)をめざします。
  • 医療整備の見直しを図り、安全、正確、迅速な調剤業務をめざします。そのためにレセコンや医療機器の充実をはかり、調剤ミスを防止するための新たな監査システムの導入を目指す。